プレシリーズA 特別対談:データカタログSaaSに懸ける想い - 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
Quollio Technologiesは2023年4月、伊藤忠テクノロジーベンチャーズをリード投資家とし、DNX Ventures、Incubate Fundを引受先とするプレシリーズAラウンドで約2.2億円の調達を実施しました。これまでの資金調達ラウンド、金融機関からの借入も合わせた累計の調達金額は約3億円となります。
INDEX
出資の経緯はピッチコンテストから。玄人な事業ドメインへの興味
松元:まず最初に、松元の第一印象からお聞きしたいと思っています。ITVさんとの出会いは、まず最初に中野さん、次いで阿部さんの順にお会いしてますよね。
中野:インキュベイトキャンプでの出会いが最初ですね。インキュベイトキャンプは、600社以上の中から書類選考で選ばれた15社のスタートアップと、キャピタリスト15名がペアになり、コンテストでの順位を争う形式で行われます。キャピタリストはメンターとしての役割で経営者を支援する事になっています。
松元:インキュベイトキャンプは、キャピタリストからスタートアップを選ぶ権利があるので、人気があるスタートアップにキャピタリストの票が集中するんです。誰からも選ばれなかったらどうしようと不安でした(笑)。
中野:松元さんが取り組んでいるテーマがデータウェアハウス内のデータに対するラベル付け、いわゆるメタデータ管理に取り組むものなので、やっていることが玄人過ぎてなかなか理解されない面があるのですが、Snowflakeのようなクラウド型のデータウェアハウスの市場が急速に伸びているので、その流れに乗る事が出来そうでQuollio社の製品、サービスは面白いと思ってみていました。
松元:ただ如何に審査員に刺さるかのプレゼンは非常に苦労しました。データウェアハウスの製品自体は知っている人は多いと思いますが、そこからアナリストやサイエンティストがどうデータを探し出して分析していて、現場でどんなツールを使っているかは想像が難しいと思います。どうしたら分かりやすく伝えられるかを、中野さんに夜遅くまでアドバイスを頂きつつ、かなり時間を割いて対応しました。
中野:その結果、初回順位5位から微妙にステップアップして最終順位4位になりました(苦笑)
松元:結果は残念でしたが、中野さんの事業へのフィードバックも含め、非常に良い経験になりました。
投資の決め手は起業家としての芯としなやかさ。
松元:阿部さんとの出会いは、ITVがQuollioに対する投資検討を本格的に進める事になってからでしたよね。松元についてどんな印象を持ちましたか。
阿部:私は中野さんからメンターをしていた事なども含めて事前に色々聞いていました。実際に松元さんに会った時の印象は、柔らかい中にもしっかりと芯を持った人という印象でした。年齢も若いという事を聞いていたので、もっと緩い感じのイメージでしたが、かなりしっかりされていて。
松元:まさかの25歳でしたか。
阿部:そうそう、全然見えない、良い意味でですけど(笑)。
データウェアハウスや現在Quollioが手掛けているプロダクトに至るまでに、松元さんが実際に取り組んできた経験がバックグラウンドとして存在するので、非常にしっくりきますね。ですので、今までもそうでしたが、今後もユーザーのペインに寄り添っていってほしいと感じています。特に技術に関する移り変わりが早い時代なので、今の優位性が1年後、5年後続くということではなく、そこは日々活動する中で、技術や事業に対するチューニングをしていく必要はあると思っています。松元さんは、そこに対するしなやかさも持っていると感じており、そういう意味でもファーストインプレッションは結構驚きと同時に素晴らしいなと感心した覚えがあります。
松元:おっしゃるようにQuollioを創業する以前に、データサイエンティストとしてユーザーの立場から企業内データの活用に取り組んだ経験はかなり活かされています。共同創業者の眞田と春田もそうですが、顧客のペインを我が事として理解する事ができ、初期からサービス提供や製品開発にスムーズかつ緻密に繋げられています。製品開発、営業、カスタマーサクセスまで、一定の共通言語を持っている状態でスタートできています。
阿部:Quollio社に対する評価のため、数社のお客様にインタビューさせて頂きましたが、カスタマーサクセスを始め、顧客サポートに関する評価が一様に高かったですよね。
それは経営陣の皆さんの日々の努力の賜物だと思っています。現場でデータ分析に当たられる方も、データ基盤や分析ツールに精通している方ばかりでもないと思いますので、顧客に寄り添った支援ができているのは素晴らしいですね。
国内外のIT業界を見てきたITVの歴史とQuollioとのシナジー
松元:ITVから見てQuollioに共感する理由やシナジーは何でしょうか。
中野:ITVがQuollioに出資したのは伊藤忠グループでの販売が期待できるからです。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)はITVの株主ですが、各種データウェアハウスや周辺の機器、ソフトウェアを取扱っており、優良な顧客基盤を抱えています。これら顧客のニーズに対してQuollio製品がソリューションを提供できると考えました。
阿部:ITV自体はIT分野ではない所にも投資をしていて、出資先については、特に伊藤忠グループ内に対して幅広く営業支援を行っています。ただ元々ITVのスタートはIT分野なのでそこがCTCを含めて我々のコアな強みの部分でもある訳です
中野:そういう意味で、冒頭、Quollioの事業領域は一般の方には理解されにくいと言いましたが、逆にこの領域は私たちであれば市場の可能性、活用のポイントが理解できるわけです。
松元:確かにそうですね。ITVの強みについてお話頂きましたが、改めてITVの歴史について、伊藤忠商事との関係も含めて伺わせてください。
中野:ITVの大元は伊藤忠商事の情報通信部門で、私も元々はそこの出身なんです。当初米国への投資にフォーカスしていました。米国への投資の狙いは、前述のCTCという子会社が取り扱える製品をシリコンバレーに探しに行く事が伊藤忠商事の機能だったわけです。
80年代からシリコンバレーにオフィスがあり、今でいうスタートアップの製品を探していて、その中の一つがサンだったりシスコだったりした訳です。そういったスタートアップとの関係は当初の輸入販売だけに留まらず、ストラテジックパートナーとして、それらスタートアップの株主となる事を始めました。それが伊藤忠商事のベンチャー投資になります。
松元:米国ですとITビジネスから入って、そこから投資の世界に行く流れができていて、それが成長のエンジンになっている気がします。
中野:そうですね。私たちが伊藤忠商事でベンチャー投資を始めたころは、90年代前半だったので、日本のITもまだ頑張れば追いつけるくらいの感覚でした。ちょうどメインフレームの時代が終わりかけていて、オープンシステム、今でいうネットワークコンピューティングが出てきた頃でした。日本にもシリコンバレー同様のスタートアップエコシステムを作り、日本のITを盛り上げたいという発想から、エコシステムの中心にいるVCを日本でも立ち上げたいと考え、ITVを創業しました。
松元:IT分野に深く関りを持っているVCだからこそ、Quollioとのシナジーも存在するわけですよね。
中野:そうです、ITVは「テクノロジーベンチャーズ」なので(笑)。
阿部:ITVは設立当時から外部のLPさんとか投資家さんのお金を預かって、投資事業をやる独立系のVCとしてずっとオペレーションしています。このような立ち位置なので、投資判断時や投資実行後の支援についても、過度に事業会社寄りになる事はなく、企業家のベストを作る事ができているのが、ITVの良い点だと感じています。
これからの更なる事業拡大に向けて、鍵はスピード感
松元:では、最後になりますが今後のQuollioへの期待を教えてください。
中野:スピード感を持って事業拡大を進めてもらいたいと思っています。じっくり製品開発を完了してから、次のステップにいくという手法もあると思いますが、技術の進歩が速い分野なので、目立った競合が出てこないうちに早めに市場をおさえていく事を並行して進めてもらいたいです。
松元:製品開発とビジネス展開の両方をスピード感をもって行う事が大事ですね。
阿部:ITVの出資先にデータを貯めるところ、集めるところにフォーカスしているスタートアップがあります。そういう出資先と将来的に上手く繋がってもらい、新たなソリューションが立ち上がると盛り上がりそうだな、という期待も持っています。
松元:ありがとうございます。パートナー戦略についてもしっかり立て、今後ビジネスを大きく発展させていきたいと思っています。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
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